2020年4月19日日曜日

おじいちゃんおいしいと

こんばんは、こうちゃんです。


小さい頃、じいちゃんが死んだ。俺は小さいから死というものがよく理解できず、
両親が変な服(喪服)を来て泣いてばかりいるのが不思議だった。じいちゃんは箱に入れられて、変な服(白装束)を着せられていた。
出棺後、車の中で「これからどこへ行くの?」と聞くと、母は「おじいちゃんを焼きに行くのよ」と答えた。
その答えが何だか恐くて、母の膝に顔を埋めていたら、そのまま寝てしまった。

目が覚めるとすべてが終わっていて、俺は自宅の布団にいた。
起き出していくと両親は普段通りの姿で、母は夕食の準備をしていた。
おかずは、豚の生姜焼きだった(じいちゃんが生前好物だったらしい)。
準備が整って、いざ食べようとしたとき、父がじいちゃんを思い出したのか「お父さん・・・」と言って泣き出した。

俺は、車中での母の話と合わせて、これはおじいちゃんを焼いた肉だと思い込んでしまった。
それでも両親が食べ始めたので、俺も食べた。旨かった。
俺が「おじいちゃんおいしいね」と言うと、母が「**ちゃん、おじいちゃんが見えるの?」と驚いた。
俺は目の前の肉の事だと思って「うん、ぼくの前にいるよ」と言った。
その答えに両親が再び激しく泣き出したので、これは間違いなくじいちゃんの肉だと確信した。

誤解が解けたのは小学生になってから


---

ずいぶんな勘違いしましたねw
これは怖い

こうちゃん

2020年3月23日月曜日

トンネル

その晩は雨が強く降っていた。
そんな日に暇を持て余していると肝試しをしようと言い出し、出るというトンネルに向かった。
現場に着き、トンネルの手前で脇に車を一時停車した。
その手の感覚は鈍いほうなんだが、なんとなく嫌な雰囲気を感じた。

しばらくの休憩の後、ゆっくりとトンネルに進入を始めた。
こういう体験は初めてなので妙な高揚感を感じた。
友人達もいい年して遊園地にきた子どもみたいに目を輝かせていた。

そんなに寂れた場所ではないんだが後続の車が来なかった。
なので出来る限りスピードを落として進んだ。なにか起きることを期待して


しかし、何も起こらない内にトンネルの終端まで来てしまった。
友人達も何か妙な物を見た様子はなかった。
もう一度行ってみようということになり、トンネルの端でUターンさせた。

今度も何も起こらない。つまらないので何度も往復しようということになった。

雨が強くなってきたのか、車を叩く音もうるさくなってきた。
3、4往復したころだろうか突然友人の一人が「おい、もう帰ろう」と言い出した。
何も起こらくて、飽きたのかと思ったんだが、どうも声の調子がおかしい。

出口が見えるあたりで車を停車させ、後ろを振り返った。
帰ろうと言い出した友人は肩を縮め、寒さに震えるような格好をしていた。
もう一人の友人はその様子を見てキョトンとしている。

「ん?どうした?何か見たのか?」と聞くが「とにかくここを出よう」と言うばかり
まさか『何か』を見たのか?期待と不安で動機が早くなってきた。
雨が一層強くなり、ボンネットを叩く音が耳ざわりに感じる。